劇薬博士の溺愛処方
   * * *


 チョコレートの味のキスはいつまでつづくのだろう。ぜいぜいと息を乱す三葉の身体を丹念に撫でながら接吻をつづける琉は、三葉のふだんとは異なる格好に、猛烈に興奮している。

「三葉くん……俺をこれ以上欲情させてどうするんだい?」
「んぁ……だ、だって……」

 ――バレンタイン・ディくらい、自分から誘って恋人を悦ばせたいじゃない?
 そのためにすこしだけ頑張ったのだ。
 ふだんの下着ではない、光沢感のあるワインレッドのベビードールを、素肌の上に忍ばせて。

「こんなにいやらしい下着をあの服の下に着ていたのか……さっきまで白衣を着て仕事をしていたきみからは想像できないよ」
「ふっ……んっ……く」

 舌先を絡めて蕩けるような接吻を繰り返しながら、ベッドに押し倒して深紅のレースに縁取られた胸元を布越しに愛撫する琉に、三葉はされるがままになっていた。
 すぐに脱がされて裸で身体を重ねると思っていただけに、彼はふだん以上に念入りな着衣越しの愛撫を施して、三葉を翻弄させる。

「脱がせるのが勿体無いなぁ」
「ゃん……せんせ、布越しじゃ、イヤ」
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