人間を好きになった、魔界の王の娘

燿と一緒に体育館に行くと
大勢のお客さんがいて

「ねぇ」

「出ないなんてことは禁止だからね」

「うぅ」

こんな大勢の前に出るなんて聞いてないよ!?

司会者がマイクを持って始まったのがミスコン

「今年は誰が選ばれるのか!?」

どんどん呼ばれて出て行っている中で

「エントリーナンバー9番水上夢!」

そう言って出て行った夢ちゃん
堂々としていて羨ましい。
こっちを見て勝ち誇ったような顔をしていたのには
気づいていないわけがない

「あのヤロ」

「燿?」

「大丈夫だ。奈未は奈未らしくやって来い」

「うぅ」

夢が戻って来たと思ったら
次に呼ばれたのが

「エントリーナンバー10番
桜木奈未!」

もう!?

「ほら、行ってこい」

そう言って背中を押されて出るしかなくなってしまったあたし
お客さんが静まり返ったのが分かってしまった
でも、何故か、口元を抑えている子が多い男の人たち

「ありがとうございます。これにて
1次審査を開始したいと思います」

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