人間を好きになった、魔界の王の娘

「魔界では、魔力量が何もかもを決めてしまう。
あたしには、それが負担でしかなかった。
お父様にも、あたしが魔力量が少ないからと
散々言われ続けてきた。それは、あたしが要らない子だと遠回しに言っているのでしょう?」

「そんなことはないわっ
魔力量が少ないのは、生まれつきなのよ」

生まれつき?

「どちらかにしかならないと言われて
魔界にいるからと、魔力を注入した時に
貴女は、それを無意識に拒絶したの。
それが、魔力量が少ない原因の1つよ」

そんな事・・・

「凌は、それを見ていたからちゃんと知っているわ。
だけど、それで、奈未があんな風に思っていたのなら
親である、私たちの責任ね」

魔界の門が開いたと思ったら、出て来た
お父様と廻。

「姉さんもいたんだ」

「帰ってくる気になったのか」

「凌。廻。奈未は、ここに残すわ。
もう、2度と私たちの判断で奈未を魔界へは連れ戻せない」

「何を言っている」

「奈未が、魔界に帰ってきたくない原因は
奈未にいあるんじゃない。私たちにあるのよ。
それなのに、原因である私たちが魔界にいても
奈未には、負担でしかないもの」

「そう。でも姉さん
残りの期限は後半年だって言うことを忘れないでよ?」

「・・・っ」

「廻。その期限も使わないで上げなさい」

「何で・・・」
< 125 / 138 >

この作品をシェア

pagetop