人間を好きになった、魔界の王の娘
善の言っていることに、多少の不安がよぎっているものの
「では、姫。今日はもう、お帰りください
明日、俺は魔界に戻ります。すぐに帰ってきます。
魔界の状況もすぐに、姫に伝えます。なので
姫は人間界で待っていてください。
俺達、サタン一族がそう簡単に罠にかかるとは思いませんが」
車に乗せられ、家に帰ってきたあたし
「姫。明日はこの家にいてください。
学校には適当に嘘でも言っておくので」
「で、でも」
「大丈夫です。俺も明日は
魔界に行ってしまいます。
何かあれば、誓約を結んでいる姫様に
及んでしまいますから」
何かあれば、なんて
そんな事。言わないで欲しい
「姫。貴女は何があっても
魔界の姫であることは確かです。
いつまでも、その心優しい魔界の姫のままであり続けてください」
「ぜ、ん?」
「俺に何かあっても、悲しまないよう」
「何かあってもなんて、そんな事」
「分かりませんから。今の魔界がどうなっているのか」
そう言って車から降ろされてしまったあたし
きっと、善はこのまま魔界に行くのだろう
あたしは来ない方がいいと言っていた善だけど
どうしても、魔界の様子が気になってしまう・・・
「善が魔界に着くころに、あたしも魔界に戻ってみよう」
善に何を言われても構わない。
お父様に縁を切られていようとも、それでもあたしは
魔界の人間であることには変わりはないのだから