人間を好きになった、魔界の王の娘

「だから、驚いたのね。魔界の女性たちは
あたしがここにいることに」

「そうでしょう」

「さすがの、善もやばいかもしれない」

「アイツは魔界にいるのですか」

「恐らく、昨日のうちに魔界に帰っている可能性があるの。
本人は、今日魔界に行くと言っていたけど」

「まさかっ」

「そう。あたしに、嘘の婚約という制約をかけて」

「!?」

善があたしを裏切れば
勝手に切れると言っていた。
だけど、今のところはまだ、この制約は切れてはいない
だからこそ

「あたしも1度魔界に戻ろうと思ってるの」

「!?
そんなことしたらっ」

「恐らく混乱するでしょうね。
でも、それでも。これ以上
魔界を混乱させるわけにはいかないの」

お父様の子供は、あたしや廻だけじゃない。
異母キョウダイも多くいるはず。
1人でも、掛かっていなければ、どうにかできるはず
だけど、お父様や廻までもが掛かっているとなると
魔界は、崩壊してしまう


「分かりました。では、今から魔界に帰りましょう」

「えぇ」

この家に、ありったけの魔力(ちから)で
結界を張り巡らせても、それでもわずかに残っている魔力

「姫の魔力は徐々に回復しているのですね」

しているのかしら
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