人間を好きになった、魔界の王の娘

「魔力だって、無限に使えるわけじゃない。
ましてや、あたしの魔力は少ない方だともいわれている。
それを、本人が何も言わないのに、あたしの魔力を使う必要がないもの」

「嘘だろ」

無限に使える魔界の者は、サタンと魔王であるお父様。
それを色濃く引き継いでいる廻だけだろう

「どうするかは、あなた次第でしょうね」

悠翔君の家を出て、隣の家に向かうも
玄関は当然閉まっていて
鍵を貰ったものの、どう、開ければいいのかすら分からない

魔界は魔力でドアを開けられたから
こんなメンドクサイものなんてなかった

「お前、鍵の開け方も知らねぇのかよ」

!?

あたしが苦戦していたものを悠翔君は
いとも簡単に開けてくれた

「お前も覚えておけよ」

「何で」

「あ?」

「何で来たの」

「そりゃ、お前が俺の婚約者だって言うからだろ?」

「それは・・・っ」

「親同士が勝手に決めたことだ。
俺は、お前を婚約者だとは認めていない」

あたしだって、婚約者だなんて認めたくないわよ
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