人間を好きになった、魔界の王の娘

「あたしは、いずれする時が来たら
嫌でもお父様の言うことを聞くわ。
でも、インキュバスも、サタンも嫌なのよ」

「何を勝手なことを言っている」

ゾクっとしたのは、気配すら感じさせないまま
あたしの自室に現れた、魔王である父、凌だ

「お父様」

「お前は、魔力のコントロールが出来ないがゆえに
コントロールを出来る者たちを選りすぐって選ばせているのだぞ」

だから、それが嫌なんだって

「どうせ、それだけではないでしょう？
インキュバスであれば、生殖率も上がり、この魔界も潤いますものね」

「どういうことだ」

「インキュバスが人間と生殖すれば確実に魔界の子を産むことになるでしょう。
なら、人間を連れてきたらいかがです？お母様のように」

「お前」

「お嬢様は知っていたのですか？
奥様が人間であることを」

知らないはずがないでしょう？

「そりゃそうよね？
お父様は、お母様との結婚を反対されていたと
お母様から聞いている。それは、お母様が、魔界の人間ではないことを示すから。
そうなれば、人間か、天界の者。
魔界の人間が、天界の者を連れてくるはずがない。
ならば、人間としか考えられないのよ」

「奈未！」

「あたしは、お母様によく似ていると言われている。
この魔力のコントロールもうまくいかないのは
人間の血が色濃い可能性があるから」

「！？」

「だったら、尚更、インキュバスとの婚約を」

「したら、コントロール出来るとでも？」

「どういう」