人間を好きになった、魔界の王の娘

「何だ。不満でもあるのか?」

「いや。別にないけど」

そう言って、理事長室を出ようとした夢ちゃんを

「水上」

「何?」

「いや。何でもない」


夢ちゃんと理事長先生って何かあるの?

「そう言えば、同じクラスだね」

「そうみたいだね」

あたしは、いつまでここにいられるだろうか
この学校全体に魔力なんてかけられる自信がない

「ここだよ。あたしのクラス」

夢ちゃんの上の標識に書かれていたのは
1-1Aと書かれたもの

夢ちゃんは普段通りに入っていった教室

「夢ー。その後ろの子、だぁれー?」

「あたしの幼馴染で、悠翔の彼女―」

いやいや。正確にはまだ、悠翔君の彼女ですらないけど

「は?そんな子いたの?」

「いたんですー。一昨日帰って来たばっかりだから
忙しくて、今日から同じ学校ー」

「なるー」

「まぁ、よろしくするつもりはないけど、
よろしくね。転入生さん」

この子の目は嫌いだ。
魔界にいた時にも同じ目をしていた男どもは大勢いた
この子はそいつらと同じ目をしている

フイっと顔を横に向けると

「うわっ生意気ー」
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