人間を好きになった、魔界の王の娘
手が出そうになった時
「ちょっやめてよ。悠翔に何か言われるのあたしなんだから」
夢ちゃんも結局は同じだ。
どうせ、どこにいてもあたしは変わらない
荷物を机に置いて
空には、魔界の門が開きかかっている
「昨日の今日で、もう使者を送り込んでくるとか
どういう考えなの?お父様」
きっと、こっちでの生活を把握したいのだろう
でも、あたしの周りに張った魔力は
使者くらいだったら見られないはずだからどうでもいいけど
廻やお父様が来たら一貫の終わりだ
屋上にそのまま向かったあたし。
案の定、お父様の使いの者が魔力の外側にいるのが見える
でも、使いの者だけじゃない
「廻まで出してくるなんて、何を考えているの」
「姉さん」
普通にあたしの魔力の領域に入って来た廻
「何をしに来たの?廻。
あんただけの独断で、ここに来るとは思えないけど」
「察しがいいですね。父上からのご命令が下っています」
やはりか
「魔界へ帰って来いとの事です」
「"今"は帰る気がないと言ったら?」
そう言った瞬間、廻の周りにまとっている空気が変わったのが分かった
「そりゃ、無理だろうよ。奈未。
今まで、親父の命令を無視できたことがあったか?」
それは、ない。
ないけど
「お父様はどうあがいてもあたしを魔王城へ閉じ込めておきたいのかしら」
「だろうね。僕は、魔王になる気はないから」
何言って・・・
「僕には、魔王になる才能なんてないからさ。
姉さんに結婚してもらって、次期魔王候補の人に、魔王城を継いでもらうのが
1番、手っ取り早いんだよね」
「姉さんもそれが嫌なんだろうけど」
「分かっているなら・・・」