人間を好きになった、魔界の王の娘

「それとも、あたしを殺してでも
魔界へ帰ると言うの?」

「馬鹿を言うな。そんなことを言ったら
母さんに発狂する」

お母様が発狂するとは思えない

「そんなことはないわ。
廻も分かっているでしょ?
魔界では、魔力があるものが優位。」

「あぁ。知っているよ。
魔界で一番最初に教えられることだからね」

「だからよ。あたしの魔力量なんて限られてて
お父様や廻。あなた達よりも少ない魔界の姫なんて
魔王城に居たら、お荷物と一緒なのよ」

「そんなこと・・・」

あるのよ
だから、お父様は

「あたしに、魔力の強いサタンやインキュバスと一緒にさせたいんだから」

「なっ」

「それに、魔王城でも、あの世界でも
廻の方が大事にされていたもの」

「俺の方が大事?」

「そうよ?」

大事にされている者ほどこそ
その大事にされていることに気が付かない。
買いもそのうちの1人だ


「あたしは、お父様にも、お母様にも
大事になんてされていないの」

「俺は、逆だと思うけどなぁ」

逆?
何を言っているの
< 37 / 138 >

この作品をシェア

pagetop