人間を好きになった、魔界の王の娘

そう言って、保健室を出て行った善

インキュバスやサキュバスが人間を嫌っていることなんて
魔界にいる時から知っていたこと。
だけど、あそこまで拒絶反応を起こすほど
人間を嫌っているの?
それなら、お母様の事だって、嫌っていて可笑しくないはずなのに
人間の血を色濃く継いでいる
あたしにも同じことが言えるだろう

寝てれば、魔力量が少しは回復するだろうか
深い眠りに入ってしまったあたしは
次に起きた時、自分がいた場所ではないことに
気付くのにそう時間はかからなかった

「ん・・・」

あれ?
ここは・・・
魔力が充満している。でも、この
作りは魔界の家や城ではない。
と言うことは、ここは

「善の住んでいる場所なんだ」

「起きましたか?姫」

「えぇ」

さっきよりもだいぶ楽になった
この魔力が充満しているおかげだろう

「それはよかった。この家全体が
魔力が出ているスポットなんです」

はい?

「人間たちは、不気味がって
ここを買う事を進めては来ませんが
俺はあえてここにしているのは
有り余った魔力も放出することが出来るからです」

魔力を放出・・・か

「姫様も、生活が安定すれば
ご自分の魔力量も増えると俺は思っています」

「どういう事?」
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