人間を好きになった、魔界の王の娘
「現に、姫様は、この地上で最初にお会いした時に比べて
魔力量が上がっております。きっと
こちらでの生活が姫様にはあっているのでしょう」
確かに。魔界にいる時よりも
随分と生活はしやすくなった。
監視されていることもなくなり
使用人の無理やりさせてくる、事も無い。
「姫様。俺は別に魔界に帰れとは言いません。
俺と婚約して、ここで、生活をしても
魔族であることには変わりはないのです」
「・・・っ」
「あの夢とかいう女を、姫様が保護したいと言う
気持ちも分からなくありませんが
もっと、姫様はご自分を大切になさってください」
善・・・
「ありがとう。そんなこと言ってくれたのは、
善が初めてで、驚いた」
「そうですか」
「でも、あたしはやっぱり善とは婚約できない」
「な」
「別に、インキュバスが嫌なわけじゃない。
他の種族が嫌なわけでもない。
でも、善は分かるでしょう?あたしはお母様に似ている。
魔族が母親に似ることはそうそうない中
お母様に似て、人間の血を色濃く継いでいるあたしには
どこにいても1人ぼっちであることには変わりはないの」
「そんなことをおっしゃらず」
おっしゃらずなんてそんなことを言わないで欲しい