人間を好きになった、魔界の王の娘

「とりあえず食事にしましょう」

そう言って持ってきてくれたのは
魔界であたしが好きだったもの

「何で、これ」

「姫が好きなものは魔界では有名です。
そして魔界の男たちは、姫様の好きなもの位
作りたいと思うものなんです」

「そっか」

それで、作ってくれたんだ

「どうぞ?」

そう、食べようとした時だった

「いつまでこんな所にいるつもりだ」

「え?」

何で・・・
お父様がここにいるの

「魔王様」

「お前は魔王城に戻るべき人間だ。
いつまでも、こんな所にいるべきではない。
そして、善と婚約を早急にしてもらう」

「い、嫌です」

「何?
今何と言った」

「いやですと言いました。
もう、魔界に帰るのも
魔王城へ閉じ込められるのも、あたしはごめんです」

「奈未!自分が何を言っているのか分かって」

「分かっています。
だからこそです。あたしは、魔界には帰りません
それに、廻は、1年の猶予をあたしに与えて行きました。
それなのに、たった1週間でそれを覆すのですか?」

「俺が廻の言葉を信じるとでも思っているのか」

「いいえ。思っていません。
だからこそ、何でお母様はお父様の所に嫁いだのかもわかりません
あんなに顔色の悪いお母様を放置しているのも
分かりません」

「なんでそれを先に言わない」

「はい?」
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