人間を好きになった、魔界の王の娘
「何で、麗奈の具合が悪いことを
奈未。お前が知っている」
「それは、出て行ったときに、お母様と遭遇したからに決まっているでしょう?
それに、お母様が急にあたしに冷たくなったのも
廻を産んで、廻の方が魔力量が高いと分かってからです」
「なっ」
「最初から、魔力量の少ないあたしには
使用人たちも、お母様も、お父様も
何の関心も持たなかった。それが答えなのでしょう?
あたしは、あの城にいても、家族で食事をしていても
いつも子供としていても、家族の輪に入っているのは
廻で、あたしの入る場所なんてなかった。
いつも、いつも。魔王城にいても、魔界のどこにいても
あたしに、居場所なんてなかった。
どこにいても、1人だった。
そんな場所に、誰が帰りたいと思うのですか」
「姫様?」
「廻は、あたしにないものを全て持っているではありませんか。
ならば、廻に魔王城や魔界を任せて
あたしをもう、放っておいてください」
「なら、好きにしろ。これで
本当に魔王の娘ではなくなってしまうがな」
「分かっています。
もう、あの時にそう言われたときに
親はいないものだと思って生活をしています」