人間を好きになった、魔界の王の娘

お風呂はすでにお湯が張ってあって

「わわわっ」

「ちょっ」

いきなり、服のままお風呂に入れられたあたし

「いきなり・・・っ」

何すんの。そう言おうとしたとき

「アイツの匂いを落として来い」

「あいつ?」

「善の匂いなんて付けて帰ってくるな」

善の匂い?
とりあえず、お風呂の中に服のまま
入れられてしまったので、ありがたく
お風呂に入ることに

何で悠翔君は、善の匂いなんて言ったの?
というよりも2人が知り合いだったことにも
驚きを隠せないんだけど

それでも、少しはあたしをあたしとして見てくれてるって
そういう事なのかなぁ

「もし、あたしを、見てくれてるなら
それでいいんだけどなぁ・・・」

だけど、悠翔君はあたしをあたしとしては見ていない
あたしを見ながら別の女の人を見てる気がする
きっと、悠翔君には本命の彼女でもいるんだろう

「ははっ」

あたしに匂いがついているのが嫌なんじゃない
あたしを越して別の女の人を見て
その人が、別の人の匂いがついているのが嫌なんじゃないの?

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