人間を好きになった、魔界の王の娘
自室に戻ってきたあたしは、昔、幼いころにお母様に聞いたことがあることを
思いだしていた

”母様は、別の世界から来たの?”
”そうよ。私はね、”人間界”という場所から来たの。
奈未もいつか大きくなったら
奈未は奈未の思う道を進めばいいの”

人間界・・・全く興味がないわけじゃない。
だから、行って見たいと思うことも多くあった。
そして、人間界にもあたしの婚約者がいると

「どんな人なんだろう・・・?」

お母様の言葉を頼りに、あたしは人間界に行く。

「ここにある荷物も必要なくなる日が来るのかな」

必要最低限の物だけまとめて後は出ていくだけとなった時だった
自室の窓から荷物を出して、出ていくと言う時

「奈未。何して・・・」

「お母様。あたしのすることを止めないでください
あたしは人間界に行きます」

「そう。行ってらっしゃい」

一瞬寂しそうな顔をしたお母様。
自分の故郷は、ここじゃない。人間界なんだもんね

「お母様」

「いいのよ。言ったでしょう?
奈未は奈未の思う道を進めばいいの。
どこにいても、奈未はあたしの娘であることに変わりはないのだから」

・・・っ

「麗奈。奈未。何をしている」

お母様の後ろから無表情で立っている父であり
魔界の王でもある、凌

「いいえ。何も
ただ、奈未の婚約と成婚には早いのではないかと思いましたので
その話を」

「嘘はないだろうな」

ゾクッとしたお父様の言い方
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