人間を好きになった、魔界の王の娘
「なら、お隣のおば様の所にでも行ってくれば?」
「奈未?」
「お母様がここにいるなら、あたしが別の場所に行く」
「何を言って」
だって、あたしなんてどうだっていいんでしょ?
皆して、どうせあたしなんて誰も
あたしをあたしとしてなんか見てなんてくれない
固まっているお母様を他所に
あたしが出ていく支度をすると
「どこに行くつもりなの・・・?」
「どこだっていいじゃない。
それとも、自分の病気を治すついでに
魔界にでも連絡する気なんでしょう?」
「そんな事」
ないなんて言い切れない。
お母様もあたしには信用できない人物の1人で
あることには変わりはないのだから
「奈未」
「何?」
「どうしちゃったの?」
「どうもしないわ。これが本当のあたしなんだから
元々、気づかなかったのは、そっちでしょう?
魔界で、魔王城に閉じ込めてたのは、そっちなんだから」
「・・・っ」
じゃあね
そう言って家を出たあたしは、悠翔君の所に行けば
きっとすぐにお母様が来てしまうから
ある程度離れている、善の家に転がり込むことにした
「ったく。俺が早く帰ってなかったらどうするつもりだ。奈未」
「だって、お母様と一緒にいたくないんだもの」
「はぁ・・・」