人間を好きになった、魔界の王の娘

ため息までつかれちゃった

「姫。俺も一応男なんですけど」

知っているわ

「悠翔の所に行けばよかっただろう?」

「それは、出来なかったんだもの」

「出来なかったって」

「悠翔君とは家が隣同士だもの。
お母様が来ないとは限らないじゃない
だけど、お母様のお兄様にはまだ、会ったことがなくて
頼る事も出来ないから、結局はここに来るしかなくて」

「おいおい。俺の所を避難所にするつもりか?」

「そんなんじゃないけど」

お母様のお兄様の居場所さえ知っていれば
善の所に来ることはなかったんだけど

「はぁ・・・」

「姫。とりあえず、俺が夜中にお前の制服を取りに行って来る」

「え?」

「出なければ、今のこの状況で
明日、学校に行くための制服をどうするおつもりですか」

「あ・・・」

制服・・・だけでも、持ってくれば良かった
お母様と一緒にいたくなくて、何も持ってこなかった
あたしに的確なことを言ってくれた善

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