人間を好きになった、魔界の王の娘

善が作ってくれた夕飯を食べようとしたときだった

「何で、お前がここにいるんだよ。悠翔」

悠翔君?

「ここに、奈未が来てるだろ」

「あ?桜木が来る理由はなんだよ?」

「お前の事だから、匿ってるんじゃないかって思ってるんだよ」

「へぇ。それは心外だな。
俺が誰を思ってるのか、悠翔お前は分かってると思ってたけどな」

「お前が夢を思ってることくらい、知ってる」

善が、夢ちゃんの事を好き・・・?
あんなに、人間嫌いだってずっと言っている善が?
人間の女の子を好きになったの?

「だからこそ、夢と一緒にいる奈未を狙ってるんじゃないかって思ったんだが?」

「残念。ここに桜木は来ていない。
それにこれを見てみろ」

そう、善の手には、食材が

「これは一体」

「俺の地元の食材。
こんな物を今どきの女子高生が食いに来ると思うか?」

「そうだな」

そう言って帰っていった悠翔君
ここにいるのに、悠翔君にコソコソしながら生活するのも
疲れるかもしれない

手に持っている食材をもってリビングに来た善

「じゃ、食うか」

頂きます。そう言おうとしたとき

「言うなよ?
まだ、悠翔が外にいる」

!?
悠翔君、外にいるの?
どうして?帰って言ったんじゃないの?


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