人間を好きになった、魔界の王の娘

そのまま本当に帰っていった悠翔君
というよりも、善が追い出したと言った方が正しいのかもしれない
婚約者なのに、お母様から言われたから来たなんて
ショックがデカすぎた

「姫様」

「ん?」

悠翔が出て行ってからやっと食事を始められたあたしたち

「奥様は」

「魔力は付与していないと思うけど」

だからこそ、魔界で具合を悪くして
こっちに来ているのだろうから

「分かった。
これを食べていてください」

え?
何で・・・

「俺が少し見てきます」

見てくる?
お母様の様子を?

「いい。見に行かなくて」

「ですが」

「あたしがお母様の様子を知ったところで
何とも思わないから」

「姫様・・・」

「善。制服だけお願いしてもいい?」

「畏まりました」

そう言って部屋を出て行った善

「悠翔君も、自分の意思でここに来てくれたら嬉しかったのにな・・・」
そう言った言葉を聞いていた善の事はあたしは知らなかった
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