人間を好きになった、魔界の王の娘
「なぜ、そんなに奈未の成婚を急かすのです?
そんなに一族が大事だと言うのなら
廻もいます。そして、凌あなたには側室もいて
側室のお子もいるのだから、奈未1人いなくても大丈夫でしょう?」
「何を言っている」
知らないとでも思っていたのだろう。
でも、お父様に側室がいることは、周りの皆が周知していることだ
「知らないとでも?
奈未よりも年上のお子がいるのに、その子には、婚約も成婚もさせず
なぜ、先に奈未なのですか」
「それは」
「奈未は、貴女の物でも魔王城の繁栄のための物でもありません。
私は、奈未は魔力のコントロールが出来てないのは
人間の血が濃いがゆえだと思いますが」
「人間の血が濃いだと?この魔界で
魔王城でそんなことがあってたまるものか」
「では、私は?
私は、貴女が人間界に来た時に、貴女に捕まった。
嫌がる私を、人間界からこんな場所に連れてこられた私は?」
「くっ」
「今だって、こんな世界に私はいたくないと思っていること
本当に分かっているのですか?
その気持ちが、奈未にもあると言うことがなぜ分からないのですか」
「何?」
「どれだけ、学院でいい成績を取ってきても、貴女は見向きもしない。
見向きをしているのは、廻だけ。側室のお子たちにも
目をくれているのに、なぜ、奈未にはそれすらしてくれないのですか
奈未は、人間界に行かせます。
人間界の方が、奈未は奈未らしく生活もできる」
「なっ」