人間を好きになった、魔界の王の娘
「ね、ねぇ!」
「なんだ」
「どうしてあたしがあそこにいるって分かったの!?
お母様にもおばさまたちにも言わないで出て来たのに」
「帰ったら、アイツが来てたんだよ」
へ?
アイツ?
「善が来てたんだよ」
善と家で遭遇しちゃったって言うわけか
「で。お前の制服だけ持って出て行ったから
後を付けたら、またあの家にいたって言うわけだ」
なるほど
「確かに。お前の母親に言われてきたのも事実だからしょうがない」
「・・・」
「だけどな。お前のお袋に言われたくらいで
はい。そうですかって簡単に動くような俺じゃねぇんだよ」
それなのに、あたしを迎えに来てくれたの?
「俺のマンションに行ったら他の女と遭遇しちまう可能性もある
でも、お前は俺の婚約者だって言うんなら
女を蹴散らすのにはちょうどいいかもな」
女を蹴散らすって何?
1人の女に執着しないタイプだって善は言っていたけど
「お前の母親の事。
外で話すことでもねぇだろ」
「・・・・っ」
「お前がどうしようが俺には関係ねぇけどな
お前は、1度ちゃんと母親と話した方がいい」
お母様と話すか
「お前の母親、泣いてたしな」