人間を好きになった、魔界の王の娘

「ね、ねぇ!」

「なんだ」

「どうしてあたしがあそこにいるって分かったの!?
お母様にもおばさまたちにも言わないで出て来たのに」

「帰ったら、アイツが来てたんだよ」

へ?
アイツ?

「善が来てたんだよ」

善と家で遭遇しちゃったって言うわけか

「で。お前の制服だけ持って出て行ったから
後を付けたら、またあの家にいたって言うわけだ」

なるほど

「確かに。お前の母親に言われてきたのも事実だからしょうがない」

「・・・」

「だけどな。お前のお袋に言われたくらいで
はい。そうですかって簡単に動くような俺じゃねぇんだよ」

それなのに、あたしを迎えに来てくれたの?

「俺のマンションに行ったら他の女と遭遇しちまう可能性もある
でも、お前は俺の婚約者だって言うんなら
女を蹴散らすのにはちょうどいいかもな」

女を蹴散らすって何?
1人の女に執着しないタイプだって善は言っていたけど

「お前の母親の事。
外で話すことでもねぇだろ」

「・・・・っ」

「お前がどうしようが俺には関係ねぇけどな
お前は、1度ちゃんと母親と話した方がいい」

お母様と話すか

「お前の母親、泣いてたしな」


< 70 / 138 >

この作品をシェア

pagetop