人間を好きになった、魔界の王の娘

「お帰りなさい」

家に帰ると普段通りのお母様
あたしが家を飛び出したのに、怒りもしない

「奈未。もう少しで夕飯が出来るから
食器を出してくれる?」

食器?

棚の中に入っていたお皿を取り出すと
お母様が作ってくれた夕飯をお皿に盛りつけた

「これは」

「そう。奈未の好きな鶏肉の照り焼き」

何で。あたしの好きなもの・・・

「奈未が思っていることは大体のことは予想がつくわ」

「え?」

「そりゃ、母親ですもの。奈未の思っていることくらい
分かるわ。勿論、廻にも聞いたりもしたけど」

廻、お母様には話したんだ

「あたしが、奈未の事を好きか嫌いかで答えろと言うなら
好きに決まっているでしょう?
出なければ、あの魔王城で、魔力量の少ない奈未を
あの城に閉じ込めたりはしないわ」

どういう事?
あの城に閉じ込めたのは、お父様じゃないの?
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