人間を好きになった、魔界の王の娘
じゃあ、廻もそのことに気づいていたと言うの?
だから、あの時
あんな事、言ったの?
「奈未?」
「それでも、今更、今更それを信じろと言うの!?
散々人を駒の様にしてたくせにっ」
「そう、よね。そう思われても仕方がないわね」
「あたしは、誰の言葉も信じない。
お母様の言葉も、お父様の言葉も
おば様たちだっていつ裏切るか分からない
そんな人たちの言葉も信じる気はないわ」
「な、奈未っ」
「魔界で、あたしがあの部屋に閉じ込められてから
毎日泣いていたのを、知ってる?
知らないでしょう?どうせ、あの部屋に閉じ込めてから
"誰も"あの部屋に近づかなかったものね。
唯一見られたのは、廻くらいかしら。
使用人ですら、あの部屋に来ることも
近づく事も無かったわ」
「・・・!?」
「それが、どれだけ寂しいか、お母様たちには分からないのよ。
いつも、お父様がいて、廻が近くにいるから。
あたしの気持ちなんて、分かろうともしないくせに」
「そ、そんな事」
「あるわけないって?あるから
現に娘のあたしに言われているんでしょう?
それとも。お父様もお母様も魔力量の少ないあたしを
"娘"だと、認知していない?それはそれで構わないけど」