人間を好きになった、魔界の王の娘
すっと入って来たお父様と廻
「麗奈。体調はどうだ?」
「大丈夫よ。少しは楽になったわ」
「そうか」
「母上。ご無事で何よりです」
「廻もありがとう」
「ほら、ね?あたしの言ったとおりでしょ?
この差は、お母様たちには分からないのよ。
あたしの気持ちも、寂しさも何もかも
持っている、お母様たちには、あたしの気持ちなんて
分かろうともしないくせに。
口を開けば、婚約。婚約。
もう、うんざりよ。誰も信じない」
「奈未・・・」
「あたしが大事?そんなわけない。
大事なのは"廻"と自分たちだけでしょう?」
「何を言っている」
お父様?
「図星でしょう?」
テーブルに置いてある食事を見ても食べようとは思わない
「あたしは、魔界に帰るつもりもないし
お父様が決めた婚約者と婚約をするつもりも
結婚をする気も全くないから。
それでも、結婚をさせたいのなら義姉や義兄からさせたら?」
それだけ言うと、家から出て
制服は、悠翔君が持っているはず
善が悠翔君に渡していたから
隣の家に行けば
「話せたのか?」
「話してきた。制服だけ、欲しい」
「おい?」
「いいんじゃない?少し1人の時間が必要なのかもよ?」
夢・・・ちゃん?
「はい」
そう言って渡してきてくれた制服
「ありがとう」