人間を好きになった、魔界の王の娘

制服をもってきてしまうのは、善の所で

「おいおい。同じ日に2回も来るなよ」

「いいじゃない。お母様にも
お父様にも、廻にも、思ってること
ぶちまけて来た」

「女王陛下が来ているのは
なんとなく知っていたが、魔王様と殿下も来ていたのか」

「話している途中に来た。
自分たちが正しいと思ってることに、間違いが多いこと
あたしん気持ちなんて、まるで無視してるんだから、しょうがないでしょう?
だから、全部、ぶちまけて来た」

「そうですか」

「善は、寂しいとかそう思うことはなかったの?」

「俺には分かりません。インキュバスは
成長も早く、成人するのも他の種族に比べれば早い方ですから
それでも、俺では姫様の寂しさを埋めることは出来ないでしょう?」

そうかもしれない。
きっと、誰もあたしの寂しさを理解なんて出来ないかもしれない

「姫様が、学校の屋上で
"1人ぼっちだ"と言ったのは、城でのことがあるのでしょう?」

「・・・っ」

「姫様がそう感じていると言うことは
少なからず、魔界の下の種族たちも気づいている可能性もあります」

「下の?」

「はい。堕天使は魔種族でも人間でもそうですが
人の気持ちには敏感だともいわれています」

そう、なんだ
だから?おばさまの家に行ったとき
堕天使たちが驚いていたの?

「それに、姫様はそう感じているかもしれませんが
ちゃんと、姫様を見てくれている方が
この世界にはいるでしょう?」
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