人間を好きになった、魔界の王の娘
「あたしを、見てくれてる人?」
「ほら」
そう言って指をさした方向にいたのは
お父様でも、お母様でも廻でもなく
「は、ると、くん?」
「姫様を見てくれている人はちゃんといるんですよ。
俺でも、サタンでもない。
姫様を"1人"の人として、アイツは見てくれている証拠です。
出なければ、こうしてくる事も無いでしょう」
「そう、なのかな?」
「はい。なら試してみますか?」
試すって何を?
「こういう事です」
あたしの口に手を当てて来た善。
外にいる悠翔君には、どう見えているのかなんて分からないけど
く、苦しいっ
「おいっ善、何してんだよ!?」
そう言ってあたしと善を引きはがしてきた悠翔君
「何で?」
「自分の婚約者に口づけもしちゃいけないのかよ?」
「は?お前も奈未の婚約者だって言うのかよ!?」
「!?」
「そりゃそうだろ?俺は、奈未の父親に選ばれてる婚約者だぞ」
「・・・っ」
そうだ。善はお父様が選んだ婚約者候補の1人だ