人間を好きになった、魔界の王の娘
「ふーん。ならさ、奈未もこいつと婚約すれば?」
「え?」
「いいじゃねぇか。どうせ、こうやって
ここに来てるんだったら、コイツと婚約すれば」
「・・・っ」
そうだよね。悠翔君は、あたしと好きで一緒にいてくれてるわけじゃない
お母さん同士で勝手に決めた婚約者だ
「分かった」
「!?」
「姫?」
「いいよ。善。
分かってたことだもん。きっと、悠翔君には
好きな人がいるんだよ。なのに、いきなり
婚約者だって言われたら、認めたくなんてないんだよ」
「何言って・・・」
「悠翔君。婚約は、破棄・・・」
「姫。本当にいいんですか?
俺が姫と婚約をすると言うことは
この地上には帰っては来れなくなります。
地上の人間の記憶も消えてしまうことになります」
そうよね。
あたしの記憶が残っていて欲しいなんて
そんな都合のいい話
「馬鹿じゃね?そんなに泣きそうな顔しながら
破棄とか言ってんじゃねぇよ」
「え?」