人間を好きになった、魔界の王の娘
「魔導士たちを読んでおいて頂戴」
「奥様?」
「奈未を、人間界に行かせます
勿論、サタン一族との婚約もさせません。
させるなら、先に側室のお子たちを先にさせてから、行ってくださいな」
「何を」
「だってそうでしょう?
42歳の側室の娘ですら成婚していないのに
何故?先にあの子なのですか。それとも
側室の娘を今度は正妻に迎えるおつもりですか」
はい?
「誰もそんなことは言っていないだろう」
「本当の事でしょう?
向こうの世界に行けば、私の兄もいる。
友人だっている。むしろ、そっちの方が安心して送れるわ」
「くっ」
ぞろぞろとやって来た魔導士たちが部屋に入って来た
「奥様。お待たせいたしました。
魔導士たちを連れてまいりました。誰を送るおつもりですか」
「奈未を、あたしが住んでいた場所まで」
「!?」
「奈未様。魔法陣の中へお入りください」
「え?」
「奈未様を人間界へ、送ります」
「奈未!お前は、ここを出たらこの魔王の娘ではなくなるのだぞ!?」
魔王の・・・娘、か
「あたしは、そのしがらみが嫌いでした。
魔王であるお父様の娘だから出来て当たり前。出来て当然の事
それが出来なかった事で、散々言われ続けてきました。
だけど、お父様は、あたしのそんな言葉にも耳を傾けてさえくれなかった。
あたしは、この魔王城にいても、孤独しか感じたことしかなかった」
「!?」
「だから、お母様が言ったように、あたしは
こんな世界で、魔女としているよりも人間の方があっているのかもしれません」