人間を好きになった、魔界の王の娘
7
善の家を出た後
悠翔君に腕を掴まれたまま
あたしは悠翔君の後ろを歩いている
というよりも、小走りされている
「ここだ」
着いたマンションは結構デカい建物で
「730号室」
「え?」
「今日からお前が済む部屋番号だ」
部屋番号なんてあるの?
「お帰りなさいませ。悠翔様」
様!?
「おや。そちらのお連れ様は?」
「俺の婚約者の奈未だ。覚えておいてくれ」
「畏まりました。ワタクシこちらの
コンシェルジュをしております。楠田(クスダ)と申します
以後お見知りおきくださいませ。奈未様」
あたしにまで!?
「は、悠翔君っ」
「何だ」
「何だ。じゃなくて、あたしにまで様を」
「俺の婚約者だって言うなら、着いたままだな」
え?
それって
「悠翔様。お話になられていないのですか?」
「これから話すところだ。
楠田。もし、奈未がおかしな行動をしたら
俺にすぐ伝えろ」
「承知いたしました」
そう言ってエレベーターを呼んだ楠田さん