人間を好きになった、魔界の王の娘

「魔王の娘でなくなると言うのならば
それだけの事なのでしょう?あたしは、人間界で言う年の
まだ16歳なのです。だからこそ、もっと
お父様に見ていて欲しかった。だけど
お父様はそうではないんでしょう?義理のお姉様と廻がいれば十分なんでしょう?
だったら、これ以上あたしに虚しい思いをさせないで。
娘じゃないと言うのなら、あたしもお父様はいなかったと思うまでです」

そう言った瞬間
魔法陣が青白く光った

「どこにいても、誰といても私は、あなたの味方よ。奈未」

あたしの味方でいてくれるの?

「いい?奈未。水上彩という女性か、桜木大我(サクラギタイガ)という男性を探しなさい。
この2人だったら、奈未の事を悪いようにはしない人たちだから」

お母様の言っている2人は、本当にいい人たちなのだろうか?
それすら、あたしには分からないことだ

「では、奈未様、人間界で元気でお過ごしくださいませ」

より一層、強くなった光に包まれたあたしは
最後の最後でお母様の泣いている姿を初めて見たかもしれない

青白い光が消えて、あたしがいたのは
魔界ではない世界。
明るく、陽が出ていてそれに建物がたくさんある。そんな世界だ
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