人間を好きになった、魔界の王の娘
ニヤニヤし始めた燿
「え?あの?」
「俺に考えがあるんだけど」
考え?
「でも、その前に」
その前?
「奈未は何で魔界って所からこっちに来ようって決めたの?」
あたしが魔界を離れた理由?
「あたしのお父さんは、あたしを見てはくれなかったの
お母さんも同様に。見ていたのは、弟の廻だけだった。
魔界では、魔力量ですべてが決まる。あたしは、その魔力量が
既定の量よりも少なくて、少しでも強い魔力を当てられれば
倒れてしまうほどに弱い魔力なの。
そんな中で生活をするのが嫌でお父さんに絶縁を突き付けられたけど
それでも、魔界には、もういたくなかったの」
「それで、こっちに来たんだ?」
「うん」
「じゃあ、水上を教えてくれた人は?」
「お母さんが、水上か桜木という人を探せと言ったの。
まさか、魔界で、魔法陣から直接来た場所が
水上・・・悠翔君の家の真ん前だとは思わなかったけど」
「なるほど。兄貴の婚約者って言うのは」
「水上のおば様から聞いたの」
「へぇ。じゃあ、兄貴の婚約者だって言うのも
叱咤のは最近なんだ」
「うん」