秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
書店の後、近くにあったカフェに寄り少し休憩してから私のマンションへ戻った。

マンションの前に車を停め、荷物を運び込んだ。
干してあった雅臣さんの洗濯物を手早く畳み、冷蔵庫に作ってあったおかずを保冷バッグに入れた。

雅臣さんに手渡すと驚いていた。

「真帆…これ。」

「うん。私のおかずのお裾分けです。冷蔵庫に入れてくださいね。」

「ありがとう。じゃ、また明日な。」

「うん。」

車が角を曲がるまで私は見送っていた。
見えなくなると涙が溢れてきた。
慌てて涙を拭い、私は部屋へ戻った。

部屋はがらんとしていていつもよりも広く感じる。

先週まではこれが普通だったのに。

取り残された洗濯をしまい畳むと何も手につかずボーっとしてしまう。

これが普通、と何度も自分に言い聞かせた。

夜になっても食欲が湧かず、結局ヨーグルト1個食べて寝てしまった。

ここでも広いベッドに寂しさを覚え涙ぐんでしまった。
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