秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
千佳の電話に力をもらった私は翌日、お昼近くになると雅臣さんのマンションへ向かった。

ピンポン。

出ない。
いる気配もない。
まだ帰ってないのかな?早すぎたかな?
もしかして会社に寄って仕事するのかな?

聞きたくても怖くてメールも打てない。
もう待つしかない。

私はドアの前で待っていた。

廊下を他の人が通るたびに訝しげな表情を見せるが私は笑顔で会釈した。

すでに2時を過ぎている。
すでに東京にはいるのではないかと思うがまだ帰ってこない。
まだかかるのかな…。
連絡してみたらいいのはわかってるけどなかなかこの手が動かない。

途中自販機でペットボトルを買い飲んだりしているがずっと経ち続けているので足が疲れてきた。

雅臣さんのマンションのエントランスへ移動し生垣に腰掛けた。

ここなら日陰だし座れるし、帰ってくる姿も見つけられるはず。

今日絶対に話したい。
今日このまま帰ったらまた勇気がなくなっちゃう。

ここに移動して更に1時間。
3時を過ぎた。

ふと気がつくとスマホが揺れている。

あ、電話…。

着信画面を見ると雅臣さんだった。
< 117 / 182 >

この作品をシェア

pagetop