秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
俺たちは店の前に来たタクシーに乗り込んだ。

「杉原、家はどこ?」

「……。」

「杉原!」
俺は肩を揺するが起きる気配はない。
マジか…。

「杉原!」

「……。」

「お客さん、どうします?」

「え?!あぁ…じゃ、品川までお願いします。」

車は品川に向けて動き出した。

杉原は寝息までたて本格的に寝ている様だ。
まさかこんなことになるなんて…。
ビール2杯…しか飲んで無いよな。

そういえばあんまり部の飲み会でも飲んでる姿は見てないな。いつもみんなの注文やとりわけをしてくれてた様に思う。

俺の肩に寄りかかり寝息を立てる杉原をなんだか可愛く見えてしまう。

しっかり見えてもやっぱり女子だな。
寄りかかられるのも軽いし、なんだかふんわりいい匂いがする。

つい手が伸びてしまい杉原の頭を撫でてしまった。

うぅ…ん…
少しだけ動くが起きる様子はない。

柔らかい猫っ毛が触り心地がいい。
ずっと撫で続けてしまった。

家の近くまで来たところで運転手にフォレストレジデンスに行くようお願いした。

エントランスに着くともう一度杉原に声をかけるが起きる気配はない。

お金を払い、杉原を抱きエントランスは入った。

あーあ…
こいつも女なんだからもっと注意しないと相手が俺じゃなければ食べられちゃうのに。
まったく…

俺はまだ分かっていなかった。
今日がターニングポイントだったなんて。
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