秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
どれくらい雅臣さんの寝顔を見ていたんだろう。

雅臣さんが伸びをしようと私の手を離れた。

薄目を開け、私の顔を正面に見る。

「うわぁ!ビックリした。」

「あ、ごめんなさい。」

私は謝りの言葉を言い切る前にギュッと抱きしめられてしまった。

「真帆、大丈夫か?気分は悪くない?」

「はい。ご迷惑をおかけしました。」

「4時間くらい外にいたんだろう。暑い中どうして連絡をくれなかったんだ?」

「怖くて。無神経な私は嫌われたかと思って。」

「バカな。むしろ他の男に取られてたまるかと思い直したよ。」

「ただの同僚ですよ。でも私が無神経でした。職場ではいつも通りに、と思い普通にご飯食べに行ってました。もし私が反対のことをされたら、と思ったら嫌でした。ごめんなさい。」

「俺は真帆が好きだからそういうことはしない。以前からも女子社員とそんなこともなかったしな。けど真帆はいつも通りでいいんだ。そのかわり他の男に惹かれないよう俺を好きでいてもらえるように努力すべきだと思った。だから…実は俺も真帆の家の前でずっと待ってたんだ。俺は真帆に選んでもらえるように、自信がないんじゃなくて努力したいと言いたくて。」

「私は雅臣さんが好きなんです。雅臣さんが私を嫌いになっても私は好きなままでいられるくらいに。だから…そばにいて欲しいってお願いしたくてきたんです。大好きだから。」

「よかった…。狭量の狭い男だと呆れられたかと思った。」

「まさか。でも今まで通りみんなと食事に行ってごめんなさい。」

「今まで通りでいいんだ。それに職場の空気が悪くなるだろ。普通でいいんだ。でも俺だけは特別だと思わせて。」

そういうと私の首筋にキスを落としてきた。

「今はダメ!汗臭いから!ダメー!」

「じゃ、シャワー浴びておいで。ご飯、何かデリバリーしておくよ。」

「私が先なんて申し訳ないです…。」

「なら、一緒に入る?……なんてな。真帆が先でいいよ。俺、注文するから。」

「……入る。」

「?」

「一緒に、入ろ?」

「えぇ?!」

真帆は俯いて押し黙る。
耳が真っ赤になってるのが見え、可愛くて仕方ない。

「よし。じゃ、湯船にお湯入れてゆっくりしよう。待ってて。」
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