秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
ピンポーン



ハッと我に帰った。
私たちは顔を見合わせてクスッと笑い合った。

「はい。今行きます。」

私は慌ててTシャツをおろした。
雅臣さんも乱れた髪型を手櫛でサッと直し玄関へ受け取りに向かった。

「真帆。えっと…食べようか。」

「そうですね…。」

恥ずかしさに顔が赤くなるのかわかる。
私達は隣同士に並び釜飯を食べた。

さっきから寸止めばかりで笑ってしまう。
タイミングがいいのか悪いのか。
本当は雅臣さんが帰ってきた時だって抱きついてしまうくらいの勢いだったはずなのに私が倒れちゃうし。

でも…
お互いの気持ちが話せ、関係がまた一歩深まったように思う。

「この釜飯美味しいな。」

「私のも美味しいです。だし汁までついてるなんていいですね。」

「あぁ。初めて頼んだよ。この前チラシが入ってて面白いと思ってたんだ。」

「雅臣さんがチラシなんて見るんですね。」

「だから何度も言ってるだろ。普通だって。」

「そうですね。だんだん身近な人に思えてきました。」

「いい傾向だな。」

「さて、お土産があるんだ。真帆はお菓子が好きだから色々買ってきた。渡せてよかったよ。名古屋は小倉トーストだろ?だから小倉のお菓子が色々あってさ。なので小倉のラングドシャと俺が世の中で一番好きな店のバームクーヘン。他にも色々あるんだ。これは会社でみんなに渡すやつだけど他は全部真帆のだ。」

「え?こんなに?重かったでしょう。」

「いや、選ぶのが楽しくてつい増えただけだ。」

「ありがとうございます。嬉しい。」

「バームクーヘンは少し冷やすのがおすすめだ。」

「じゃ、冷蔵庫いれてもいい?」

「もちろん。その言い方可愛いなぁ。」

「もう!バームクーヘン以外のもの何か食べましょうか。飲み物入れますか?」

「あぁ。俺が入れてくるよ。とはいえお茶かアイスコーヒーしか置いてないんだ。今日は念のためビールもやめておいたほうがいいだろうし。」

「じゃ、お茶ください。」

「了解。」

私はもらったお菓子を嬉しく思うが、お菓子よりも選んでくれた雅臣さんの気持ちが嬉しかった。
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