秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
課長の作ってくれたハムとチーズのホットサンドはとても美味しかった。
コーヒーもハンドドリップで香りがよく、えぐみが少ない気がする。
朝からこんな素敵なご飯が出てくるなんてさすがイケメン。
私が作るならおにぎりと味噌汁になりそうだわ。
あぁ、何もしても何を出されても自虐ネタにしかならない。

もう帰ろう…

週明けから今後の身の振り方を考えなきゃ…。

「なぁ、杉原は今日予定ある?」

「何もないです。ともくんに会いたいけど会えないし…。」

「ともくんか……。なら俺と出かけない?」

「結構です。」
私は即答した。
課長とお出かけなんてできる訳ない。
しかも仕事帰りの夜ならまだしも週末の昼間だなんて無理もいいとこ。

課長はあまりの勢いに圧倒されていたがクスクス笑い始めた。

「ひどくないか?!人の誘いを瞬殺しなくてもいいじゃないか…。」

「いえ、私に課長のおでかけのお相手は100%務まりませんから。リア充な方をお探しくださいね。本当にそろそろ失礼します。タクシーで帰るのでお気になさらずに。」

私は食べた食器を下げつつ、ホットサンドメーカーと一緒に手早く洗った。
すぐにバッグを持ち、帰ろうとするといつのまにか着替えた課長が車のキーをクルクル回しながら付いてきた。

「私なら送っていただかなくて大丈夫です。ありがとうございました。」

「俺が送りたいんだよ。」

その言い方にドキッとしてしまった。

何も言えずに固まってしまうと、課長は私の腰を抱き、足を進めさせる。
その仕草にもドキドキしてくる。
か、顔が近いです…課長!

「杉原の家はどこ?」

「……。」

「おーい。家はどこか聞いてるんだけど。」

「す、すみません。私、千歳烏山です。」

「よし。行こう。」

私は腰を抱かれたままあっという間に課長の車のところまで連れていかれた。
助手席のドアを開けられ座らされた。
シートベルトをするように言われ、課長も運転席へ回り込んだ。

「とりあえず千歳烏山駅の方に向かうな。」

「よろしくお願いします。」

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