秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
「真帆…身体は大丈夫なのか?痩せたな。顔色も良くない。病院は行ったのか?」

「はい。行きました。」

「病名は?薬は飲んでるのか?」

「病名は…えっと…。」

「いいにくいものなのか?俺は真帆から離れない。何があっても真帆を支える覚悟がある。言ってくれ。」

「えっと…、その…病名は妊娠です…。」

ニンシン…

ニンシン?

「えぇー?!赤ちゃんができたのか?」

屋根が飛び抜けるほどの大きな声に私は驚いた。

「雅臣さん、シーっ!」

雅臣さんの口に指を当てた。

「真帆。真帆のお腹に俺の子がいるのか?」

「はい…。」

雅臣さんは目が潤みだし、私は慌ててしまう。

「雅臣さん?」

「すまない。真帆のお腹に俺の子がいるなんて。嬉しいよ。」

目尻から涙が溢れ落ちるのを見て驚いた。
まさか雅臣さんにこんな姿があるなんて。

「雅臣さん、喜んでくれますか?」

「もちろんだ、もちろんだよ。こんな嬉しいことあるなんて思いもしなかった。真帆、ありがとう。」

「良かった。私1人で育てようか悩んでいたんです。」

「今日会えてよかった。真帆、すごいよ。」

雅臣さんはお腹に触れてくる。

「ここに赤ちゃんがいるなんて信じられないよ。」

「私もです。でもつわりが酷くて。」

「それであんなに具合が悪かったのか。」

「はい。」

「ごめんな。気がついてやれなくて。」

「ううん。」

「3人で幸せになろう。」

「はい。」
< 162 / 182 >

この作品をシェア

pagetop