秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
「田中くん。うちの真帆でいいのか?」

「もちろんです。真帆さん以外考えられません。」

「正直なところ顔がいいので君はモテるのではないかと思うのだが…その…モテることが心配というか…。」

「心配は不要です。浮気など絶対に致しません。お父さんが思われるよりモテません。声とかあまりかけられないです。」

「そうか?うん、ならまぁ。真帆が選んだ人だ。よろしくお願いします。」

「ありがとうございます。あと…一つご報告がありまして。実は真帆さんが妊娠しています。順番が前後してしまい申し訳ありませんでした。」

また頭を深く下げた。

「えぇ?!」

「まさか!」

2人は顔を見合わせながら叫び声を上げた。

「申し訳ありませんでした。でも、必ず大切にします。お願いします。認めてください。」

「もう出来ているものはどうにもならないだろう。それに2人はいい大人だ。合意の上だろう。」

「はい。でも…すみませんでした。」

「真帆、体調どうなの?大丈夫?」

「うん。つわりがひどくて今週休んでるの。でもそろそろ行くつもり。家にいても気が滅入るしね。」

「そう。無理は禁物よ。」

「うん。」

「あぁ、また赤ちゃんが抱けるのね。お母さん嬉しいわ。」

「そうだね。しかも千佳の2人目も産まれるから大忙しになりそうだね。」

「そうよね。まとめて里帰りしちゃえばいいのよ。」

お母さんはあっけらかんと話している。
そう、うちはこんな感じになると思ってた。
雅臣さんにかしこまらなくていいって言っておいたんだけどな。

でも、さっきの言葉にジーンときた。

言われてみると嬉しい言葉だった。
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