秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない

バレないように気をつけて

週末まで雅臣さんにゆっくりさせてもらい、つわりはあるがなんとか出勤した。

みんなからメールをもらい、心配してもらって悪かったと思う。でもとても有難かった。
いつまでもこの職場で働きたいと思った。

「おはようございます。」

「杉原、やっとこれたか?大丈夫か?」

「杉原、大丈夫なのか?痩せたな。」

「真帆さん!大丈夫ですか?」

みんなが口々に声を掛けてくれる。

「ご迷惑とご心配をおかけしてすみませんでした。完全復活ではないですが働けるところまで復活してますのでよろしくお願いします。」

「無理するなよ。」

「はい。」

デスクにつくと隣から橋本くんに声を掛けられた。

「おい、大丈夫なのか?やつれてるぞ。顔色も前よりはいいかな、ぐらいだぞ。」

「アハハ…ま、大丈夫。先週よりはいいんだから。」

「病院行ってるのか?お前メールしても返ってこないし倒れてるんじゃないかと見に行ったんだけど。」

「そうなの?ごめん。実家に帰ってたの。」

「そうだったのか。無理すんなよ。何かあればすぐに言えよ。」

「いつもありがとう。」

実家だなんて嘘ついちゃった。
橋本くんごめんね。
こんなに心配かけてるのに嘘なんかついて。

でもまだ同じ職場にいる限り早くからはオープンに出来ない。
結婚したら同じ課にはいられない。どちらかが移動せざるを得ない。

私は炭酸水を少しずつ飲みながら吐き気と戦い午前の仕事を終えた。

ふぅ…

「真帆さん、ご飯行きます?」

「無理そう。行ってきて。私食べるもの持ってきてるからここでのんびりやすみながら食べるね。」

「絶対無理しないで早めに言ってくださいね。」

「ありがとう。」

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