秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない

デート??

待ち合わせ場所に行くとすでに課長は立っていた。

「お待たせしました。」

「いや、待ってない。今きたところだ。」

「すみません。送ってもらったのにそのまま帰っていただいてしまって。よく考えたら二度手間をかけさせてしまったと思って。」

「いや、いいんだ。急だったし。でも映画の話になって、やっぱり観たいなと思ったのは俺だし。」

「私も観たかったので楽しみです。」

いざ課長に会うとさっきまで家で考えを巡らせていた気持ちはなくなり、車の中のように普通に話せホッとした。
私があんまり意識してると課長に悟られるのは恥ずかしい。
私ごときがおこがましいもの。
でも今普通に話せて嬉しい。
課長が気を遣わせないような雰囲気を出してくれてるからなんだろうなぁ。

「時間を調べたら20分後に始まる回があったんだ。急ごう。」

ここから数分の距離のところにあるとはいえチケットを買ったりすることを考えたら急がないと…。
私は慌てて映画館へ向かおうとするとサンダルがひっかかりよろけてしまった。

「おっと…」

「あ、すみません。」

「杉原は会社だとしっかりしてるのにプライベートはダメだな。昨日から見ていて面白いよ。」
課長はそういうと私の手を握り歩き始めてしまった。

え??
ええー?
なんでーーー!

私の目は課長に握られた手に釘付けになってしまった。

そのままグイグイと映画館へ連れて行かれてしまった。

映画館は土曜日のお昼ということもあり混んでいた。

さりげなく手を離しチケットを買いに行こうとすると手は握られたまま、
「チケットはネットで買っておいた。だから発券機で出すだけだから大丈夫。」

「それじゃあお礼にならないじゃないですか。」

「付き合ってくれることがお礼だから気にするな。」

「そんなぁ…。じゃ、飲み物は是非買わせてください。」

「じゃ、ご馳走になろうかな。」

「はい!」

ここで、買いに行くのを良いことにさりげなくまた手を離そうとするが離してくれない。

課長は手を繋いだままカウンターへ進んでいった。

「杉原は何にする?」

ちょっと…
どうして手を離してくれないの?
もう躓いてないから大丈夫。
さっきはたまたまなのに。

私はまた繋がれた手を見つめていた。

「杉原?何にするの?」

「あ、あぁ…えっと…、アイスカフェラテにします。課長はどうしますか?」

「俺はアイスコーヒーで。」

「わかりました。」

私はアイスカフェラテとアイスコーヒー、ポップコーンのキャラメルと塩のハーフを注文した。
お金を払う時、ようやく繋がれた手が離された。
ホッとしてしまった。
夏だし…ただでさえ暑いのに手汗をかいてなかったか心配になった。
トレイにのったドリンクとポップコーンは課長が持ってくれ私たちはシアタールームへ進んだ。
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