秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
予告が終わり本編が始まるがドキドキがおさまらない。

でもいざ始まると流石話題のミステリー作家だけのことはある。

のめり込むように映画に見入ってしまった。

途中、無意識にポップコーンを取ろうとした時に手が当たりビックリした。

1人で来たつもりでいた。
誰かと映画を観るなんてここ数年なかったから、課長のことすっかり忘れていた…。
誰と来たのかさえ忘れてのめり込むなんて…だから私は恋愛に向いてないのよ。

自己嫌悪に陥りつつもまたのめり込んでしまった。

シアターが明るくなる。
あー、めちゃくちゃ面白かった。
ふと横を見て、隣にいる課長を見て驚いた。

あ、また忘れてた…。

「面白かったな。」

「本当に。凄く面白かったですね。」

課長はトレイを持ち立ち上がった。
私もつられて立ち上がる。

課長はスタッフのところへトレイを返しに行ってくれた。

「ありがとうございます。」

「いや。」

私は駅へ向かおうと足を進めると課長が後ろから声をかけてきた。

「このあとも予定ないんだよな?」

「まぁ…そうですが。」

「なら買い物に付き合え。」

「はぁ。」

「嫌か?」

「いえ、そういう訳では。」

「じゃ、行こう。」

「はい。」

< 25 / 182 >

この作品をシェア

pagetop