秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない

同期

月曜日。
また1週間が始まった。

「部長、先日頼まれた資料です。チェックお願いします。不足があればまた声をかけてください。」

「助かるよ、ありがとう。」

私は他の営業の補佐をし始めた。
営業マンの数に対して補佐は3人。
毎日フル回転で働かなければならない。

金、土のことはすっかり忘れ私は没頭した。

そういうところが恋愛脳じゃないんだろう。
日曜を挟んでしまったらなんとなく雅臣さんのことは遠い昔のような気持ちになり忘れてしまった。

春子ちゃんが3時にみんなにコーヒーを淹れてくれた。
アイスコーヒーを取引先からいただいてきた営業がおり、試飲を兼ねて、ということだった。
春子ちゃんが午前中から冷やしていてくれたおかげでとても美味しくいただけた。
少し深入りのコーヒーだった。
私は引き出しからチョコレートを出し、甘みを足しながら飲んでいると横から橋本くんが手を出してきた。
橋本くんは甘党。きっとこのコーヒーは苦いんだろうな。私はクスクスと笑いながらそっとチョコレートを差し出した。

「あんまり食べないでよ!残り少ないんだから。」

「そういうなよ、同期のよしみだろ。そのうち買ってきてやるからさ。」

「もーっ!絶対だからね。同期でも営業と補佐はもらってる額違うんだから倍返ししてよ!」

「杉原〜、オレとお前の仲なのに冷たいこと言うなよ。」

「もう!どんな仲よ。私デパ地下のチョコ好きだからね!よろしくね!コンビニじゃないからね!」

「はいはい。そのうち回った時買ってきますよ。」

「さすが橋本くん!太っ腹。そういうところ好きだなぁ。男気あるね。」
私は橋本くんを褒めちぎる。橋本くんは同期だからか言いたいことがポンポン言える数少ない存在。

「真帆さん、なんの話ですか?」と美花ちゃんが近づいてきた。

「橋本くんが差し入れしてくれる話。美花ちゃんも頼んでおく?」

「はい!橋本さん。お願いします。その男気あふれるところ私も好きですから!」

「みんな気軽に頼むよね〜!ま、オレのこと好きって言ってくれたから許すか。春子ちゃんは?オレのこと好きー?」

「もちろんでーす!大好きです、差し入れ。」

「違う、違う。オレが好きなんでしょ?差し入れは二の次でしょ?」

「そうですね。」
補佐3人はクスクスと笑う。
橋本くんのノリは私たちの癒しなんだよね。
この雰囲気で営業も取ってきちゃうんだよね。
しかもいつも美味しいものを3人に差し入れしてくれるから私たちは橋本さんのこと好きなんだよね。もちろん恋愛ではなくて。
橋本くんも分かっててふざけて言ってるから私たちも話してて楽しい。

さ、リフレッシュしたし後少しがんばろ。
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