秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
今日も朝からバタバタしている。
うちもだけど他社もそろそろ夏休みに入るからか仕事を詰めておこうと思うのかもしれない。お互いの予定が合わなくなるから連絡も密になっている。

とはいえ今週乗り切れば来週から10日間の夏休み。うちの会社は電話番を数人で順番に回し、あとはしっかりと夏休みを取る福利厚生のきちんとした会社だ。

美花ちゃんは彼氏とバリ島に行くって言ってた。
春子ちゃんは実家のある島根に帰省するって言ってた。

私は…何もすることがない。なので家に篭りだらけた生活をするつもり。マンガ読んだり昼間から飲んだりしちゃおうかな。でも部屋の模様替えもしたいんだよね。カバー類飽きちゃったし、一人暮らしして8年、だいぶ汚れてきたもんな。頑張って模様替えしちゃおうかなー。10日間の間にともくんと遊べるか千佳に聞いてみよーっと。

なんだか夏休みが待ち遠しくなってきた。
よし、あと2日がんばろ。

どうしても仕事量が多いため今週は月曜に橋本くんとご飯に行った以外は毎日残業。
美花ちゃん、春子ちゃんも残業しているがお願いできないところもあり2人にはキリのいいところで帰ってもらう。頼ってないわけではないが長くからの経過があるところは途中から手をつけるのが大変だからだ。

「私もあと少しだから先に上がってね!明日頑張れば夏休みだから明日も頑張ろうね。」

「いつもすみません。お先に失礼します。」

2人は頭を下げて帰って行った。

さて、あと少し頑張らないと。

20時を過ぎ、お腹も空いたし自販機で甘い飲み物でも買おうと立ち上がる。
すると社に帰ってきた橋本くんと鉢合わせした。

「お疲れ様です。遅いね。」

「お疲れー。いやぁ、明日から向こうは夏休みらしくてさ。書類が揃わないまま夏休みに入られたら困ると思って話を詰めてきたんだよ。向こうは明日から夏休みだからって気が緩んでるんだよ。」

「そりゃお疲れだわ。何か飲む?ついでに買ってくるけど。」

「気が利くな。冷たいジュースで。コーヒー飲み過ぎて胃が痛くてさ。」

「分かった。」

私は自販機でリンゴジュースとサイダーを買った。

「杉原はサイダーなの?」

「うん。ビール飲めないからせめてシュワっと感味わいたくてさ。」

「そうだよな〜ビール飲みたい時間だよな。」

「うん。でもまだ終わらないんだよね〜。」

「オレも。これからまとめないと。明後日から夏休みはいれなくなるー。」

「頑張ろっか。」

2人で隣同士、無言でひたすらパソコンに向かっていた。
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