秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
千歳烏山から引き返したら終電間近だろう。

いいのかな？と思うが課長は譲る気はなさそう。
各駅停車とはいえ22時を過ぎているため混んできた。
そのため何となく話すのを躊躇い無言で電車に乗る。
揺れが心地よく、頑張っていたが眠たくなってきた。瞼がどうしても落ちてきてしまう。
課長は腕を組み座っていたが私に気がつき方に寄り掛からせてくれた。
私は睡魔に勝てずそのまま肩に寄りかかり眠ってしまった。

「真帆、真帆、もう着くよ。」

「え？」

私は一瞬どこにいるのかわからなくなるくらいしっかり寝てしまったようだ。
すぐに電車は駅に滑り込み停車した。
私は分からぬまま手を引かれ電車を降りた。
歩いたことで目が覚めてきた。

「課長！すみません。やっぱり寝てしまいました。」　

「やっぱり付いてきてよかったよ。」

「ご迷惑をおかけしてすみません。」
ガバッと頭を下げる私の頭に課長の手が乗り撫でてくれる。

「さ、マンションまで送るから。」

「もうこれ以上は迷惑かけれません。」

「ここまできて何言ってるの。夜道を女の子1人で歩かせられないでしょう。何かあったら困るよ。」

「もう女の子じゃないですよ。」

「俺にしたら女の子だよ。ちゃんと送ったら帰るから。」

久しぶりに女の子だなんて言われて恥ずかしくなる。

私は無言になりうつむく。
課長は優しく背中を押し、人気のない改札を一緒に出た。

そのあとも腰に手を回され私のマンションまで並んで歩いた。
緊張して気の利いた会話もできない。
俯き気味で、つい無言になってしまう。

10分弱で家に着くと「おやすみ」と言い、課長はそのまま来た道を戻って行った。
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