秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
「誰からー?」
千佳はニヤニヤしながら聞いてきた。

「課長…。」

「課長?課長がどうしたの?」

「なんか私が買い物にいこうと誘ったらしいの。そんなこと言ったのかなぁ。どうしよう。」

「いくつくらいなの?」

「たしか32?33?くらいだったかな。」

「若いのに課長かぁ。すごいね。」

「うん。やり手だと思うよ。それよりもイケメンなの。だから同じ課で働いてるだけでも女子社員からの視線が痛いの。話してるところを見られると睨まれてるのを感じるくらい。だからうちの課の子たちは近付かないように気をつけてるくらいなんだよ。」

「そんなイケメン見てみたい!」

「昌也さんだってイケメンじゃない。」

「そうかなぁ。私は昌也の性格が好きなの。見た目に関してはいいかもしれないけど、そこに関してはいいからこそなかなか信用できなかったんだよね。遊びじゃないの?とか思っちゃってさ。」

「性格が好き、かぁ。確かにイケメンは信用できないよね。課長は話すと気さくな人だと思うけど私が周りの目が怖くて気軽に話せないんだよね。」

「それもわかるわ。昌也と話すとナースの目が痛かった。だから内緒で付き合ってたの。ま、真帆の知ってる通りそれが仇になり音信不通になったんだけどね。」

「女は怖いからね〜。しかも課長は仕事でも見た目でも優良株だから若い子達とか狙ってるのがありありと分かるんだよね。私はそういうのいいかなーって。」

「でもさ、そんな課長がわざわざ休みの日に連絡くれる?しかももし真帆が誘ったにしても気がないなら知らんぷりして夏休み過ごすこともできたよね。それに今謝ってお断りしたよね?なのに迎えに来るって…悪い気はしてないってことなんじゃないの?真帆のことが気になってるんじゃないの?」

「うん…どうかな?実は…。」

先週の金曜にご飯に行ってからのことを千佳に話した。

< 52 / 182 >

この作品をシェア

pagetop