秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
ピコン。

あ…

スマホを確認すると課長からで、マンションの下に着いたとの連絡だった。

「千佳、課長きたみたい。」

「え?ヤダ。ほら早く帰る支度して!」

「う、うん。」

私が立ち上がるとともくんは手を引っ張りもっと遊んで欲しそうにする。

「智也、靴はこう。お外に行こう。」

「はい!」

私たち3人は慌ててエントランスへ降りると先日乗せてもらった黒のRV車が止まっており、課長は外で立っていた。
私に気がつくと軽く手を上げ、千佳に会釈をしてくれる。

「遠いところありがとうございました。」

「いや、勝手に迎えにきただけだから。田中と申します。約束されてたところに割り込んでしまい申し訳ありませんでした。」

「いえ。私が急に真帆を誘ったんです。お気になさらないでください。星川と申します。真帆がいつもお世話になっています。」

「いつも彼女には助けてもらっています。もしかしてこの子が噂のともくん?」

「はい。そうなんです。」

「こんにちは。」

「こんちは。」と頭を下げるともくん。大人の真似をしているのだろう。でも頭が重くバランスが取れないのか違う方向に向かって頭を下げている。

「うわ、確かに可愛いな。」

「でしょう!可愛すぎるんです。」

「まーちゃん、あそぼー。」

「ともくん、ごめんね。まほちゃんかえるの。またくるね。」

「いやー。まほちゃんちゅき。」

「まほちゃんもともくんすきだからまたくるね。」

「さ、真帆。遅くなるよ。」
千佳に促されるがともくんが泣き始めたのを見て私まで泣きたくなった。

千佳がともくんを抱っこし、あやしてくれているので私は車に乗り込んだ。

車窓からともくんに手を振り、バイバイというと泣きながら手を振ってくれた。
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