秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
課長の考えてることが全然分からない。
雅臣さんと呼ぶようにまたも言われてしまった。
雅臣さんの顔に慣れて?
なぜドライブに連れて行かれるの?

私にはもう全然わからない。

「ともくん、可愛かったな。真帆が癒されるっていうのがよくわかるよ。さっきも俺の顔見てたのに頭下げたら違う方向でさ。なんであんなに可愛いんだ?」

「そうなんです。可愛いんです。さっきもなにか一生懸命私に話してくれるんですけどさっぱりわからなくて…。でもその一生懸命説明する姿にまたキュンキュンしちゃって。千佳からは親バカじゃなくて真帆バカだと言われちゃうんですけどね。」

「真帆バカか…。あれだけ可愛ければ仕方ないな。それに最後泣かれちゃうと後ろ髪引かれるのもわかるよ。」

「雅臣さんは子供好きなんですか?」

「嫌いじゃないな。弟が少し離れてるからよく面倒見させられてたし。」

「弟さんいるんですね。いくつなんですか?」

「26歳かな。弁護士になるための勉強中だ。」

「すごい!」

「なれるといいんだが、狭き門だな。」

「真帆は?兄妹いないのか?」

「はい。一人っ子です。なのでさっきの千佳が姉妹のような親友のような存在です。」

「そうか。」

私たちはその後も話題にこと欠くことなく、無言になる時間さえなかった。

この前と同じだった。

雅臣さんが話し上手なのだろう。
緊張が解け、前みたいに話が弾むようになってきたところで車はみなとみらいについた。

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