秘密の秘密は秘密じゃないのかもしれない
パーキングへ車を入れ、歩き始める。

夕暮れ時の山下公園はとても素敵だった。
ぼーっと眺めながら歩いていると気がつけば雅臣さんから離れてしまっていた。
それに気がついた雅臣さんは足を止めて待っていてくれ、追いついたと思ったら手を繋がれた。

「真帆はいつも心配になるよ。」

「ごめんなさい。遅くて。ちゃんと着いていきますから。」

この手を離して、と言う意味だったのに気が付かなかったらしく手を繋がれたまま歩き出した。

どんどんと陽は沈み黄昏時を迎える。
私はこの時間が好き。この空のなんとも言えない色が私の琴線に触れる。

雅臣さんは近くにあった海の見えるベンチに連れて行ってくれ、2人で並んで空の色を見つめていた。
雅臣さんにはつまらないかもしれないが、ベンチに座らせてくれたからもう少し見ていてもいいのだろう。
手を繋いだまま何も話すことなく空が暗闇に包まれるのを見ていた。

「綺麗だな…。」

「えぇ。本当に。同じ空の色はなくて毎日見ていても飽きないです。でも仕事してるから毎日は見れないですけどね。」

「じゃ、上司として見れる時間に帰れるようにしないといけないな。夏の陽が長い時でさえ見れないのは改善の余地ありだな。」

「ふふふ…でも私仕事好きですから。」

「それは知ってる。でもプライベートも大切にしないと。」

「プライベートですか…。」

「あぁ。俺は…真帆と付き合いたいと思う。」

「えぇー?!」

「え?そんなに驚くことか??」

「はい。」

「そうか…アピールしてるつもりが通じてないんだな。わかった。もっとアピールしないといけないな。」

「……。」

「真帆、考えてくれないか?」

「…。私…どうしたらいいのか…。」

「悩んで、悩んで、俺のこといっぱい考えてくれ。」

「…はい。」

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